左ききは、アカン⁉️ WHO is LEFTY¿

ようこそ レフティのページへ

ひだりきき(ヒダリスト)=LEFTYを眺め、語る、まつのじんのページです。
試論と私論のエリアを超えませんが、参考としてお楽しみください。
8月13日は「左ききの日」です。1992年8月13日、イギリスの「Left-Handers Club」から提唱されました。8月13日は、その提唱者の誕生日です。「誰もが安全に使用できる道具をメーカーに呼びかける目的」を持って提唱されました。わたくしは、イギリスを訪問する度に、左利き用の道具を購入してきました。

✏️日本では、2月10日が「左利きの日」とされています。0210をレフト(LEFT=左)と読ませています。2月10日、8月13日ともに寒い日と暑い日で、行事が少ないのがさびしいところです。 

2019年8月13日    まつのじん

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いくつかの言語の〈左きき〉をあらわす単語です。

中国語 左撇子 
韓国語 왼손잡이
英語 SINISTRAL=Left handed  
フランス語 GAUCHER  
イタリア語 MANCINISMO    
スペイン語 ZURDO 
ドイツ語 LINKSHÄNDER     
ロシア語 Леворукость 

 

ひだりきき 異世界の民たち

鏡の世界へ ようこそ

鏡文字は、楽しい世界です。まるで暗号で思索し、可能性が大きく拡がるよう錯覚に陥ります。レオナルド・ダ・ヴィンチの世界観に佇んでいます。
英語で使用するアルファベットは、26文字中大文字の11文字、小文字の7文字が左右対称ですが、ひらかなやカタカナはすべて非対称です。↓

左利き演奏者の おもい

左利き用の楽器 あるの?

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2019年1月6日(日)。私の想像以上に早く、Amazon(日本)は「左利き用ヴァイオリンセット」の販売をはじめました。ヴァイオリン本体(4/4大人用)1挺、弓2本、ケース、松脂、肩当て、チューナー、教則本(内容は不明)、海外からの送料のすべてがセットされて30,239円です。(画像参照)
そして2019年4月25日には、ヴァイオリン本体1/2サイズのセットが31,072円で登場しました。1/2は分数楽器で、身長130センチメートル前後の学習者に適しています。
ヴァイオリンは幼少から始めますから、さらに1/8,1/4,3/4サイズなどの分数楽器が調うと良いですね。バスバー(力木)などの詳細は画像からは確認できませんが、画期的なことに違いありません。
英語の口コミに2012年のものがありますから、他国では以前から販売を開始していたようです。購入者の投稿(英文)には「楽器は届いたが、左利きの人を教えられる人を探すのが、容易ではないだろう」と記されていました。的を得たコメントです。

左利きの個性 おしえます^^

演奏家の登場です

ここで、2人の演奏家を動画で紹介させてください。
まず、ヴァイオリニストのカトリーナ・ニコライエフKatrina Nicolayeffさんです。彼女は左手に弓を持ち、右手にヴァイオリンを構えて演奏をしています。
彼女は私と同じく、「右(手)利き用」のヴァイオリンを使用しています。
「左(手)利き用」の楽器ではなく、弦の並び順も変更せずに演奏しています。弓を持つ左手を上げると高音、下げると低音が鳴ってきます。
演奏はおみごとです。
彼女の演奏するジャンルは〈フュージョンFusion〉と呼ばれる音楽分野です。

このスタイルで演奏しているヴァイオリン奏者は、数多くないでしょう。私も採用したいところです……が、音域上の理由でこのスタイルはクラシック音楽の演奏には適さないのです。(≧∀≦)

クラシック音楽は、ヴァイオリンに高音域のきらめくような音質を要求しています。「右(手)利き用」のヴァイオリンを使用する時、細い弦(E線)のハイポジションの音程をとるために、左手を肘からねじるようにして楽器の下に潜り込ませ、左指が駆け上がれる空間を作り出します。

ヴァイオリンの場合、音程を作り出すのは左手の指のうち、人差し指、中指、薬指、小指の4本です。指はネックをはさんで楽器の左側に親指、そして残りの押さえる4本は右側に位置していますから、高音域に駆け上がりやすくなっています。
「右(手)利き用」の楽器を右手で持つと、 細い弦(E線)のハイポジションにまでは指が届きづらく、クラシック音楽で必要な音域へ指が到達しないでしょう。

フュージョンは、限られた音域から豊かなニュアンスを紡ぎだす魅力あふれる音楽です。カトリーナ ・ニコライエフ さんのような卓越した「左利き奏者」を生み出したことは、すばらしいことです。動画で拝見・拝聴してから、私は彼女の大ファンとなりました。
✳️彼女の演奏する動画は、Youtubeにいくつもアップされています。

もうひとつの動画は、鍵盤楽器の演奏です。
私はこの動画に接した時、生まれて初めて、鍵盤楽器の演奏を緊張しないで観る&聴くことができました。楽しめました。それまで、なんらかのストレスを伴っていたことに気づかされました。
登場する楽器は、フォルテピアノです。現代のピアノ(ピアノフォルテ)の前身です。そして調律は現代社会でよく用いられている「平均律」ではなく、古典調律のようです。
ロベルト・シューマン(1810-1856)作曲の「蝶々」作品2(1829-1831)が演奏されています。

⚜️動画に登場する楽器について記します。一般的にチェンバロ(ハープシコード)、オルガン、ピアノなどの鍵盤楽器は、左側の鍵盤から右側の鍵盤へと音程が順に高くなってゆきます。右(手)利きの人にとっては、音楽・音程の高揚が右側へと拡がるので、そのように創られたと推察されます。
人それぞれによって異なりますが、左(手)利き人間は、音楽・音程の高揚が利き手側=左側に向かう方が、自然に感じられます。

⬇️この動画で使用されている鍵盤楽器のキーボードは、音程の並び方向が真逆にできています。「左(手)利き用」です。
下図の上は、私たちが日ごろ目にしているキーボードの並び順です。白鍵(前鍵)は、左側から右側へ〔ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド〕と並び、音程が上昇します。この動画で使用されているキーボードの白鍵(前鍵)は、下図の下のように、右側から左側へ 〔ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド〕と配置されています。それに添って黒鍵(後鍵)の並び方も逆仕様となっています。左側に向かって音程が上昇します。

演奏する手も入れ替わります。
私たちが日ごろ目にしていますがる「右(手)利き用」鍵盤楽器では、(原則として)楽譜(大譜表)の上段〔高音域〕を右手、下段〔低音域〕を左手が演奏します。
ところが「左(手)利き用」鍵盤楽器では、その逆手で演奏することになります。

下図の中央ように、(原則として)上段〔高音域〕の音符を左手が担当し、下段〔低音域〕の音符を右手が演奏することになります。こうなりますと、【音程の方向性と楽譜の地図(ながれ)が一致しない】と感じられませんか? 
楽器のつくりと同様、楽譜のしつらえも「右(手)利き脳」に即して発想され、そして発達・発展してきたことがわかります。

そこで、下図の3つめ(黄色)のように元々の楽譜を左右反転させ、右側から左側へと音が流れるようにしてみました。そうしますと、私は脳内の音のイメージと?内心の音楽がぴったり重なってくるのです。そればかりか、左側に進行するにつれ音程の高まりとともに、気持ちが自然と高揚してまいります。

この動画のような楽器が身近にあれば、私はもっと鍵盤楽器のお稽古を励んだことでしょう。(o^^o)

動画で演奏するピアニストは、クリストファー・シードChristopher Seedさんです。1998年に製作された左利き用フォルテピアノを演奏しています。 2015年8月15日、スコットランドの首都エディンバラEdinburghのグレイフライアーズ教会Greyfriars Kirkでの、ステージです。 すばらしい演奏が聴こえてまいります。
Leftt-Handed Piano built in 1998,a mirror-image copy of a Graf fortepiano built by Poletti and Tuinman Fortepiano Makers.

この動画をごらんになって、「右(手)利き」の方の中には⚡️違和感を感じる方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。違和感を通り越して、気持ちが?不安定になる方がいらっしゃるかもしれません。あるいは、しばらく時を経てから不快感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。

私は、その心の衝動を充分に理解できます。なぜならその不安定な心の動きは、私たち「左(手)利き族」が日常的に内心と精神で味わっている 〈試練〉に他ならないからです。それは、生涯にわたり切り離せないものでしょう。

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アメリカ合衆国/ペンシルバニアPennsylvania州にある、ジュニアータ・カレッジJuniata Collegeには、「左利きの学生」に授与される奨学金制度があります 。2014年の情報では、$2,000~$5,000が支給されたようです。
学校や医療機関に自己負担を伴わない、欧米の発想が生きています。 

HOW TO PLAY for
LEFTY VIOLINIST

ここからは、演奏に関するコーナーとなります。真剣です^^)。
接し方としては、次のコースがございます。

【じっくりコース】文字をすべて読み込んでください。数日必要です。
【ななめ読みコース】見出しと数行だけ。本日中に終わります。
【読み飛ばしコース】見出しのみ。3分いただきます。

〈左(手)利き 弓弦楽器奏者の アルアル〉コーナーで、さまざまな「個性」を紹介しました。左(手)利きの方でも、当てはまる項目とそうでない項目があるでしょう。また右(手)利きの方で、当てはまる項目に遭遇することもあるでしょう。
〈アルアル〉で取り上げた現象はわかりやすい例のみで、各々のケースが複合的に結合した時には、思いもよらない現象と対峙することもあります。
そのような場合は、絡み合った毛糸をほぐすように、エクササイズを用いて「原因探求」をしてゆきます。自身に対してもそうです。根気と直感力のいる作業です。
    …………………………………
ここからは、ヴァイオリン・ヴィオラを演奏する立場から、その〈アルアル〉への考察を記します。非常に個人的なこと、専門的なこと、もしくは独断に満ちた部分も多々あろうかと思います。ご承知おきくださいね。
右手に弓を持つことをベースに記します。

1❏弓を動かそうとした瞬間、ギッ・ガリッといった雑音が発生する。
2❏弓を持つ手が、気が付くと上部に移動している時がある。
3❏弓を持つ手の小指が曲がらなく、突っ張ったまま弓をかえしている時がある。 ↓


突撃する弓

右(手)利きの方にとっては、どうして雑音が発生したり、演奏途中に右手の持つ位置が変わったりするのだろう…と思われるでしょう。
私たちは、「着地点がわからないままジャンプしてしまったような感覚」で弦の上に弓が当たります。「弓を弦の上に置く」のではなく「当たる」に近い感覚でしょうか。ギリッ・ガリッ・バタバタッ・ボチャッといった、想定外の「接触音」に、コントロールできない自身が驚いているのです。

「ゆっくり、静かに置いてごらん」とアドヴァイスを受ける(する)ことがあります。これはとても大切なことですが、始めのうちはゆっくりした動きがむしろ怖さにつながり、委縮?してしまうことがありました。

弓は、右(手)利きの(西洋)人にとり、ちょうど良い長さになっています。左(手)利きにとっては、現実の弓の長さの倍くらいの長さを操っているような感覚に近いように思います。演奏中に弓の先を認識しようとして、弓の持つ手が真ん中方向に移動するのは、この長さの認識が先まで至っていないことが影響していると思われます。

ウォーミングアップ

左(手)利きの人が右手に弓を持つ場合、右(手)利きの人には必要ない(と思われる)ウォーミングアップが必須✌️でしょう。しかも、段階的に慣らしてゆくウォーミングアップです。日常的に意思疎通のできていない「非利き手」に、意思伝達を促してゆきます。ここに時間と知恵を用いましょう。
イメージトレーニングから開始した方がよい時もあります。

左(手)利きである以前に、ヴァイオリンなどの楽器は西洋人の体形がベースになっています。私たちの多くは、彼らよりも手が短いわけですから、利き手に関係なく考慮すべき視点も多々存在します。

ウォーミングアップ方法に、決められたものがあるわけではありません。自身で見つけてゆくのが最善でしょう。

ここからは読まないで!! (「企業秘密」がタップリなのでザックリ記します)

私は、次のようなことを試みています。

〔1〕弓の持つ場所を変えて、ウォーミングアップを始めます。

バロック弓の持ち方のように、持ち手の位置を少し弓の真ん中側へ移動させます。各開放弦や重音を弾きながら、弓のバランス、駒(弦)の角度、ヘッド(弓先)の位置などを確認してゆきます。

そして、持ち手を少しずつフロッグ(弓元)側へ戻してゆきます。
右手が把握(認識)できる距離感を手と脳で感じ取りながら、少しずつ距離を増し、弓先まで手元が認識できるよう広げてゆきます。

〔2〕フロッグに手が戻った時、親指を弓のフロッグの下に持ってゆきます。※

親指と他の4本の指との距離が数センチ離れます。ちょうど卵を握るような、あるいは太い棒に持ち替えたような感覚です。
この持ち方で再び開放弦や重音を鳴らしてゆきます。
時に全弓(先から元までの往復)を繰り返すと、太く安定した音が登場します。しばらくすると楽器の振動も高まってくるでしょう。
※フロッグのスライド貝に、親指から発生する汗や塩分が付着します。ガーゼを置いたり、あるいは直ちにふき取ることをお勧めします。

〔3〕持ち方をスタンダードポジションに設定し、開放弦や重音からスケール(音階)などに移行してゆきます。

スタンダードポジションで持った時、5本の指を定位置に設置します。小指は突っ張らないよう、丸い状態で指先を弓の上に置きます。
それからゆっくりと、呼吸を整え、人差し指→中指→薬指の順に指を浮かせてゆきます。最後に残るのは親指と小指です。2本指で弓を持ってみるのです。
バランスが取れたところ。そこが小指の「定位置」かもしれません。
この丸い小指と親指の2本指で、弓がグラグラせずバランス良く保てると良いですね。
※最初は6角形の鉛筆を用いての準備練習をお勧めします。
そののち弓に置き換えたときは、弓が落下しないように左手で注意を払います。

ステージを想定して

ウォーミングアップを重ねていても、ステージではなかなか希望通りに弓は弦に「当たって」はくれません。そこに緊張を伴うと、弓は剣道の竹刀を握っているようにすら感じるのです。
ステージでこそ、音を出す各瞬間が「想定内」の音色・音質・音量にもってゆきたいものです。
学習をはじめて間もないころ、音の出発点で弓が弦の上で「はねる」ことが続きました。ずいぶん悩まされましたが、私はこの動きを「利用」することを考え始めました。
弓道の弓のしなりがごとく、弓の弾力を感じるために、弦の上で弓をバウンドさせてみます。距離、角度、弦を変化させてバウンドさせると、同じ弓でも、その波動の変化がわかります。そして、その日の弾力をとらえます。

〔4〕 さて、仕上げのウォーミングアップ〈左(手)利き編〉の時がやってきました。
最終的に弓と弦が接触する瞬間が「勝負どころ」です。
その接触する直前に、左手に構えた楽器を弓の方向へ接近させます。弓がバウンドする前に、左の動きで弓を「とらえる」のです。
楽器で包み込むようにして振動を「つかまえる」のです。
その動きは1㎜に満たない時もあれば、大きな距離から接近させる時もあります。動線は直線だけではなく斜線や曲線であったり、急接近もあればゆるやかな接近のこともあります。イメージは〈?ながれ星〉です。
楽曲の表情、その時の弓の状態、大気の環境に合わせ、「ほしい音」への瞬間的な判断が必要です。 うまくゆくと、音の出発点から〈左(手)利きコントロール〉の「見せ場」&「聴かせどころ」となるでしょう。
積み重ねが音にあらわれます。急がば回れ。✏️

4❏指を使って弓を動かす「指 弓(ゆびゆみ)」がうまくできない。↓

自分の指なのに…

そうですね。右手の指を動かして弓を操るのは、なかなか思い通りにはゆきません。右(手)利きの人たちにとっても、指の動作になるとすべての人ができるとは限りません。

弓を反す時、指を使い美しく、やわらかく、どこで返したかわからないようなボゥイング(弓づかい)をしている人に接すると、惚れ惚れすることがあります。もうそれだけで、音楽的に演奏しているような視覚効果もあります。
手と弓が一体化している印象を受けます。

あきらめてはなりません。利き手は違っても、同じ形状の指があるのですから、半歩ずつでも乗り越えましょう。

指の自主独立…

弓を持つ腕の構造は、おおむね〈肩から肘(ひじ)〉〈肘から手首〉〈手の甲〉〈指〉に分離して考えることができます。〈指〉だけがパーツに分かれています。

「手は脳の一部」ですから、指も脳の一部です。指の構造を解剖学的に見てみると、親指と他の指との関係や中指と薬指の関係、各関節の成り立ちがわかります。(関節のことは、ヴィブラートを考える時に役立ちます)

指先の細やかな動きが求められる楽器演奏は、脳と指先の関係が重要です。
とりわけ音程、音色、音質、音量を「人力」で作り上げる(弓・撥)弦楽器奏者は、格別の繊細さが求められます。

それには、指一本一本の分離=自主独立 が必要でしょう。
また、解剖学的な見地を素地に弓を持つ手の形を考えることで、各指の属性から「なぜその位置にその指が置かれるのか」を考えるようになります。
手と弓の科学です。
解剖学的に、最も分離しているのは親指と他の4本の指の関係です。最も分離していないのが、中指と薬指です。ここに注目しましょう。


中指と薬指の分離

手を「グー」の形に握ってみますと、親指と中指が重なります。
親指の先端と中指の先端をくっつけますと「輪」ができます。この輪を用いて、親指と中指だけで弓が持てると「柱」ができあがります。
と、文字で記すのは簡単なことですが、この手の形を弓に置き換えるのには時間が必要です。
弓を実際持って訓練してゆくのがベストですが、落下する危険性がありますので、六角形の鉛筆を使っての予備練習をお勧めします。

親指の先端と中指の先端に、天地方向の鉛筆を挟んでみましょう。ほかの指は、弓を持っているような丸い形状です。
次に人差し指だけをピーンと反らしてみましょう。続いて小指を反らしましょう。キツネ影絵の口を丸くした状態です。
ここから慎重に、薬指を反らしてみましょう。中指の形を維持したまま薬指を反らしてゆきます。多くの人の中指がピクピク動きます。
親指と中指の丸い状態をキープしながら薬指が反る人は、中指と薬指が分離している人です。
これは、続けるとできるようになるケースが多いです。
指弓の第一歩として、まず指の分離から、とりわけ中指と薬指の分離にチャレンジしてみてください。
ゆっくり、いそいで。 ✏️

5❏左指が押さえている弦と、弓が音を発生させようとしている弦が、一致していないことがある。
6❏弦を一本だけ演奏しているつもりなのに、複数の音が鳴ってしまう。
7❏重音を演奏する時、該当の弦にあたらなかったり、目で確認してから弓を当てていることがある。
8❏移弦する時、次の弦に早く触れたり、あるいは遅れることがあり、思わぬタイミングで音が鳴ってしまう。↓

右手は今どこにいるのだろう…

眼を閉じて、両手をそれぞれ目の高さに持ってゆきましょう。手と手は肩幅くらいの間隔です。
左手の人差し指と右手の人差し指を伸ばし、目を閉じたまま近づけてゆきましょう。指先と指先がピタっとくっつくと良いですね。各指で試したり、左右の指を変えてみたりすると、手(指)と空間の認識の様子がよくわかります。
どちらかというと利き手の指先の意識が高く、非利き手の指先をそこに近づけてゆくスタイルが多いのではないでしょうか。
非利き手が空間をさまようことがよくあります。

ヴァイオリンやヴィオラ を演奏する時、音程を押さえる指や弓の当たるところを目視する余裕はありませんし、見たところで定まるというものではありません。むしろ見ない方が、直感力や空間の認識力が鍛えられます。

利き手に限らず、多くの演奏者の弓の角度が直線的です。A線(弦)はこの角度、D線(弦)はこの角度と、まるで固定化されたような「マイ角度」で弦を渡り歩いている演奏者を多く見かけます。そのような場合、現在どの線(弦)を演奏しているのかが、手に取るようにわかります。演奏中の弓の先を見ると、弦から弦に移動するときには手旗信号のように角度が付いています。

いつも曲線を意識してみませんか。

弓の角度は、駒の上に乗っかっている弦の位置により、ある程度決められます。しかしその各弦間にある「角度」は自由に動かせるのです。常に曲線を描くことが可能です。
その曲線の動きが次に移動する弦へのアプローチとなり、音色づくりに結びつきます。音楽的な表現は、弓が放物線のように動く姿と切り結んでゆきます。
駒が、なだらかな弧を描いていることに気づきましょう。その形状をみながら、私は弧の中に存在する弓の角度をイメージします。
非利き手に弓を持たせている私たちは、空間を泳ぐような感触で弓を動かしています。だからこそなお、曲線を取り込んで弦から弦へとつながるような工夫が必要でしょう。

ここでも、とっておきの 〈左(手)利きコントロール〉 があります。
楽器の角度に変化を持たせて、弓の角度をサポートすることです。弓の右手の角度と、左手で持つ楽器の角度の両方を(反対方向に曲面で)動かしてあげると、最小限の角度で収まります。
その左手側の動作の自由を保障するためには、ヴァイオリンやヴィオラの「肩当て」は動きが制限することがあります。

自然界に、直線は存在しません。曲線や曲面から成り立っています。
「曲」を意識することは、自然と融合することです。
そして日本語の「曲」は音楽を示します。 ✏️ つづく

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