《書 評》
本書は、アウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所の女性囚人音楽隊でバイオリンを弾いていたポーランド人、ニヴィンスカの貴重な記録である。反ナチス活動家を自宅に下宿させたことを理由に逮捕されたアーリア系の彼女は、慎重にことばを選びながら、重い人生体験を綴っている。
複雑に絡み合う人間関係と家族への深い愛情が、事実に即し感情を抑えて書かれている。しかし行間から溢れでる苦闘の足跡に、私の心は揺さぶられ続けた。 “『強制収容所のバイオリニスト』 ビルケナウ女性音楽隊員の回想” の続きを読む
《書 評》
本書は、アウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所の女性囚人音楽隊でバイオリンを弾いていたポーランド人、ニヴィンスカの貴重な記録である。反ナチス活動家を自宅に下宿させたことを理由に逮捕されたアーリア系の彼女は、慎重にことばを選びながら、重い人生体験を綴っている。
複雑に絡み合う人間関係と家族への深い愛情が、事実に即し感情を抑えて書かれている。しかし行間から溢れでる苦闘の足跡に、私の心は揺さぶられ続けた。 “『強制収容所のバイオリニスト』 ビルケナウ女性音楽隊員の回想” の続きを読む
《書評》
芸術の深奥に迫る豊かな内容
松野 迅
いりいりと燃ゆるペン先から、炎(ほむら)が立ち昇る。朱(あけ)に染められた情念や情熱もあれば、忿怒(ふんぬ)の黒煙もみえる。
歌曲集「詩人の恋」、「トロイメライ」などの作品で知られる、ドイツの作曲家ロベルト・シューマン(一八一〇~一八五六)は、音符だけでなく数多くの執筆を行った。クララとの愛が連綿と綴られた往復書簡、自ら立ち上げた〈音楽新報〉への執筆と、筆勢は湧出(ゆうしゅつ)する。 “ロベルト・シューマン著 『音楽と音楽家』” の続きを読む